ディーラーさんとディーラーさん以外の付き合い方



自分の車の面倒をどこにみてもらうかを決めかねるというか悩んでしまうのわかります。車のドレスアップやレース向けのチューンナップでしたら、特にドレスアップでしたら趣向性が強いと思うので割と決めやすいと思います。私の場合はドレスアップはやらないので違うかもしれませんが。ノーマル仕様であっても車のメンテナンス方法が多様化しているので、選択に悩むという場面に出会うことが多くなっているのかなあと考えます。2019年6月時点での、自分なりのディーラーさんとディーラーさん以外の付き合い方の考え方を記録してみる。

車もメーカーの工業製品

車に限らないですが、工業製品も含んで規格品は買うのはどこで買っても同じだと思います。家電屋さんで普通に売っている同じメーカー同じ型番の冷蔵庫は同じです。冷蔵庫であれば冷え方が悪いとなると、保証期間中でしたらそのルートでメーカーに修理を依頼しますし、保障期間外で直したりするのであればやはりメーカーに依頼する人が圧倒的に多いと思います。車もメーカー(ディーラー)に依頼すれば修理してくれますし、調子も診てもらえます。そういったメンテナンスは非常に責任も付いてまわることが想像できます。運転者も車はひとつ間違えると事故につながるので、整備不良が起因とならないように注意を払う必要があります。それには、各車のメーカーの力(情報)なしでは難しいと思います。

使えば劣化するのは当然

車に限らず、モノは新品が最高の状態で使えば劣化していきます。自然治癒はしないので、放っておけば治るなんてことはありません。私は自分で整備なんてできないので、整備は全て専門家にお願いします。では、どうやってメンテナンスプランをたてるか。このメンテナンスは正解があるようでないので、メンテナンスをする側も、メンテナンスを受ける側も難しいんだと思います。必要最低限といってはいけないのかもしれませんが、車検にギリギリ合格するレベルから新車同等までを一緒のレベルとすることはできません。手を入れな過ぎも手を入れ過ぎをも一緒にできないと私は考えます。

必要なメンテナンス

「ディーラーさんの車検は高い。」「変えなくてもいい部品交換を勧めてくる。」など、非難的な声を耳にすることあります。私は同様の内容の相談を身近から受けると、こう答えています。

「車の持ち主であるあなたがあと何年その車に乗る予定なのかをはっきりと伝えてはどうか。車を利用するペース、年間の走行距離、車の使い方や走り方は普通とかではなく病院の問診票に記入するように具体的に伝える。そして、だいたいでいいからその間にかける予定の金額を提示することも一緒にすること。ただし、安ければ安いほどいいと答えてもいいけど、ゼロはないからね。」

メンテナンスはあと何年乗るかによってとる方法が様々ですし、内装がわかりやすいですが持ち主の満足度合によっても範囲が変わるということです。動けばいいの扱いを続けていると、後々本当にただ動かすのにも大掛かりなメンテナンスが必要になってしまう。

ディーラーさんもビジネス

一方で、もしかしたらディーラーさんはやりたいのだが、メーカーとの約束(大人の事情?)でやらないに当てはまるメンテナンスもあるんだろうなあと捉えている。そういうところは、自分が他のところでやろうとしている事を伝えて参考意見をもらうのも一つの方法としている。間違えても、他でやっているから同じことを求めたりはしない。

また、メーカーとの約束に抵触しないが、ディーラーにお願いするユーザーがほとんどいないサービスはビジネスとしてやらないというケースもあるのではないか。例えば、エンジンを分解せずに行うエンジン内部のカーボン除去がこれに当てはまるかなと考える。溶剤を用いる方法、ドライアイスを噴射する方法、クルミを噴射する方法などがある。ここ最近のエンジンは直噴エンジンがほとんどでカーボンがたまりやすい。では、非直噴型エンジンの時代にエンジン非分解の方法がなかったのかというと、BMWは正規のメンテナンスツールとしてクルミ噴射のタイプを持っていた。実物をE36時代に見たこともある。気になって調べてみたら、今もパーツナンバー81292208034で存在している。Carbon blaster toolやBMW media blaster machineやWalnut blasterの名称がついている。クルミ(walnut)を投射材(media)としてカーボンにもの凄い勢いでぶつけて(blast)こそぎとるという道具というべきだろうか。これをディーラーさんにお願いするほど走行する車は当時あまりなかったようでひっそりとしていたし、日本では持っているディーラーさんもほとんどいなかった。ちなみに当時、興味本意でE36にやってくださいと聞いたら「まだまだ必要ないですよ。お金もったいないですよ。」と、メカニックマンに教えてもらった。実際に、ディーラーさんでできないということはあまりない。診断力の部分ではもう少し頑張ってと思うときは確かにある。とはいえ、ディーラーさんも商売なので、それには時代の流れに沿うことも必要でなんでもかんでもは無理なことも理解する必要がある。このあたりが、20年以上前の機器と付き合うときのユーザー側が一定の覚悟をする必要となる。

プロかどうかが大事

そうしたときに、大人の事情やニーズ減少などでディーラーがやりたいんだけどできないことに取り組んでいるところがあればセカンドオピニオンとして接すればいいと考える。また、これまではできなかったことが技術の進化によってできるようになり、それに特化したサービスを提供していれば利用する先として選択している。そうしたサービス提供を始めるにも、十分な検証が必要となる。検証には経験や知識、テストケースの数、時間など相当なリソースが必要になるので、容易なことではないだろう。なにか起きてしまったり、ディーラーさんではなんでもないレベルのことを回りまわって結局ディーラーさんが面倒をみるようではプロとして恥ずかしいとある整備士の方から聞いたときは感心した。

商売には自覚、才覚、嗅覚が必要だと感じている。儲かればなんでもいいというのではなく、世の中にどういう方法で貢献していくかという視点を持っている方々は素敵だなあと思う。お客さん、取引先など接する相手が喜ぶというか感動する場面が多くなり信頼が増していく。しかし、信頼はときと場合によっては一瞬で失うこともある。過度な期待をさせてしまうこともこれに当てはまることがある。だからこそ、プロは断るという選択肢もちゃんと持っているんだと私は考えています。